のむけはえぐすり 第7弾 さらに、チジミの話2006年03月21日 08時09分16秒

のむけはえぐすり 第7弾

 さらに、チジミの話 

第1弾チヂミの話の中で、チヂミとは油をひいたフライペンでさまざま食材を押しつけて縮ませたものという風に書いた。「縮ませる」をチヂミと重ねる。そんな日本的な発想からできた言葉では勿論ないはずだが、韓国人に聞いてもその語源について明確な答えはなかった。パヂョンをネギチヂミと訳した。そのヂョンとチヂミの違いも分からなかった。

そのことについて、「世界の食文化」シリーズの「韓国」(朝倉敏夫著、農山漁村文化協会発行)に、おもしろいことが書かれていた。

「ヂョンは、肉、魚、野菜などの材料を薄切りにするか小さく切って麦粉と卵の衣をつけて、油をひいた鉄板またはフライパンで平べったく両面を焼いた料理」(110p)とされていた。フライペンで出す肉や魚のいわゆるチヂミは、この類のようだ。
さらにチヂミの語源について、ヂョンは古い料理書で漢字の煎あるいは煎油魚が当てられていたこと、油で焼くことをプッチダ、チヂダということ、油で焼いた料理をソウル辺りではプッチンゲ、平安道、慶尚道ではチヂミと呼んでいたという、周永河さんの説が紹介されていた。

チヂミはキョンサンド(慶尚道)あたりのサトゥリ(方言)だったようだ。ところが、釜山市内の東莱(トンネ)温泉の近くに、母から娘に3代続いたハルメパヂョンというネギチヂミで有名な店がある。ハルメはハルモニ(おばあさん)のサトゥリである。ハルメパヂョンのヂョンは、ハルメというサトゥリと一緒に用いられたことになる。多分、その当時、釜山ではヂョンという言葉もチヂミと同じように普通に使われていたのではないだろうか。その中で、日本では「縮ませる」に通じる日本的な語感のあるチヂミの方が残ったと考えられる