のむけはえぐすり 第9弾 第1回 韓国旅行 その22006年03月31日 23時19分14秒


のむけはえぐすり  第9弾
第1回 韓国旅行 その2

 次の日の朝、ソウル駅からセマウル号に乗って、新羅の古都、慶州(キョンジュ)に向かった。
 車窓から見える韓国の田舎は、日本と変わらない。ただ、山裾の木のない緑の中に、チェスの駒を2つ並べて置いたような、現代の韓国のお墓が所々に見える。

 慶州駅の右手には、魚市場がある。チョギ(石持)、ナクチ(蛸)、エイなどが、水をふんだんにかけられ、所狭しと並べられている。縁台の上に座りながら、アジュンマ(おばさん)達がけたたましく話をしている。
 市場の中程に、チヂミを売る店がある。歩きながら食べるつもりが、ガイドのキムさんに促され、木のベンチに座ってチヂミを注文する。隣のアジュンマが「イルボン・・・」と言いながら、カボチャと小豆の煮物を持ってくる。その隣のアジュンマはカボチャの天ぷらのようなものを持ってくる。珍しく日本人がいるので、食べてみろということらしい。

 写真を撮らせてほしいと言うと、「アイゴー!」といいながら、顔を隠して身をよじる。煮物のアジュンマが、なにやら笑いながら声をかける。「豚のくせに恥ずかしがるンじゃないよ」と言っていると、キムさんが通訳してくれた。それほどのことはありませんヨと、精一杯、顔でフォローしながら、写真を撮った。写真は、人間の姿になったアジュンマが、手ぬぐいで顔を隠しているところだ。

 駅の左手には、青物市場がある。歩道の両脇には、山のように積まれた唐辛子の後ろに、日傘を差し、片膝を立てながら座るハルモニ(おばあさん)達が並ぶ。升に入れて小豆や粟のようなものを売るハルモニ、リンゴや桃を売るハルモニもいる
手ぬぐいを姉さんかぶりにした小さなハルモニに、白さの残る桃を指さして、むいてくれるように身振り手振りで頼んだ。桃はカリカリした歯ごたえで、甘酸っぱく美味しかった。二つ目の桃を半分ぐらいまでむいた時、ハルモニの手から桃が落ちた。ハルモニは黙って拾い上げると、付いた砂を手で払い、またむき続けた。むき終わって、ハイッと差し出された桃を、Aさんはなにごともなかったような顔をして、かじり始めた。

 「オルマエヨ(おいくらですか)」、「イチョノン(約200円)」、「カンサムニダ(ありがとう)」。覚え立ての韓国語を二つも使った。それ以上に、顔で話した韓国語の方が、かなり通じたような気がした。
それからは毎年、夏になると、道ばたで売られているハルモニの桃が食べたくて、韓国の田舎ばかりを旅するようになった。

コメント

_ 編集長 ― 2006年03月31日 23時23分00秒

シャム監督もだいぶ文章がこなれてきましたね。

この調子で頑張って下さい。

連載はあとワンクール延長することにしました。

_ bushi ― 2006年04月01日 03時10分34秒

シャム監督、韓国のハルモニのワイルドさには驚かされますね。でもそんなところが心和む感じではないでしょうか。ところで、私も桃は完熟よりはカリカリ感、残る若い方が大好物であります。

あの、ところで皆さんニックネーム複数使用なさってませんか? 頭がこんがらがるー  ∈(´Д`)∋アァー

_ 編集長 ― 2006年04月01日 18時47分58秒

そうですか、僕は断然完熟派ですね。

それよりなにより完熟柿ですね。これは日本では全然評価されないのですが韓国では高級品とヒャンギから聞いて「ヤッタ-!」と思いました。

実は僕のうちは貧乏で八百屋というか果物屋から「熟してしまって売り物にならなくなってしまった完熟柿」を箱で安く(というかただ同然で)買ってきて食べていたので柿というものはああいう柔らかいものだと思っていたのですが。

ニックネームは「カ行変格活用」と思っていただければ。。。(笑)

_ 名前を名乗るほどではありませんが。。 ― 2006年04月01日 20時43分37秒

写真のキンパブが美味しそうですね。

そういえば最近ヒャンギのキンパブも食べさせてもらえていないような。。。

どなたか宴会で指定して作らせていただけませんか。

よろしく

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