のむけはえぐすり 第59弾 原善三郎の話 その38 ユダヤの金融 赤い楯2007年07月22日 03時35分33秒

のむけはえぐすり  第59弾 原善三郎の話  その38 ユダヤの金融  赤い楯

「赤い楯」Rothschildは、ドイツ語でロートシルト、フランス語でロシルド、英語でロスチャイルドと読む。   Mayer Amschel Rothschild (マイヤー)さんは、フランクフルトのユダヤ人ゲットーの中の小さな両替屋に生まれた。その店の看板に、赤い楯が描かれていた。   マイヤーさんは、ドイツの名門ヘッセン家のウィルヘルム9世の古銭の収集を手伝うようになった。やがて、その趣味は当代の貨幣を集めることに変わっていった。

方法は意外と簡単。戦乱のヨーロッパで、軍資金を敵味方の双方に貸すことであった。どちらが勝っても、儲けは転がり込むというわけだ。

マイヤーさんには、5人の息子がいた。その息子を各地に分散させ、血のつながったネットワークを作ることにした。

当然、長男のアムシェルさんは、ドイツの本店。三男のネイサンさんには、1804年にイギリス・ロスチャイルド商会を任せた。五男のジェイムズさんには1817年にフランス・ロシルド商会を、次男のソロモンさんには1820年にオーストリア・ロートシルト商会を、四男のカールさんには1821年にイタリア・ロスキルド商会をそれぞれ任せた。これでネットワークが完成した。

その頃、フランス革命があり、ナポレオンが皇帝になった。ナポレオンはヨーロッパ制覇の野望に燃え、早くも2年後にはベルリンを占領した。5人の兄弟は、敵味方の双方に融資して儲けるだけではなく、情報のネットワークも駆使した。

本当かどうか、こういう噂がある。   1815年5月18日、破竹の勢いのナポレオン軍に、大陸封鎖令に困り果てたイギリスがオランダやプロイセンと連合してワーテルローで会戦を挑んだ。総指揮官のウエリントン将軍に軍資金や軍事物資を運んでいたロスチャイルドの使用人は、ワーテルローの戦いに勝利したことを見届けることができた。その知らせは、早馬や早船を使ったか、伝書鳩を使ったか、誰よりも早くロンドンのネイサンさんに届けられた。

ところが、不思議なことに、ナポレオンが勝利したという間違った噂が、その日のうちにロンドン中に流れた。大英帝国の破滅は近い、イギリスが出した公債などは持っていてもしょうがいないとばかりに、投げ売りが続出した。それを一生懸命買い漁るロスチャイルド家の一団がいた。   翌日、イギリス軍が勝利したという正確な情報が伝えられ、公債は再び値上がりした。 不思議な噂でネイサンさんは思いがけず、莫大な儲けを手にしたという根も葉もない噂だ。

5人の息子は、それぞれの国でいずれも男爵位を受けた。その家紋には「赤い楯」が描かれ、それを囲むように鷲とライオンとユニコーンと、5人の息子を示す「5本の矢を握りしめる腕」が描かれている。下にはマイヤーさんが言い残した、Concordia(協調)、Integritas(完全)、Industria(勤勉)の言葉が掲げられている。

21世紀の今、ロスチャイルド家が世界の金融や経済に及ぼす力は、その後の婚姻関係によって、さらに巨大なものになった。   現代の世界の金価格は、毎朝、ロンドンのロスチャイルド銀行に集まる5人によって決められている。   勿論そのうちの一人は、ロスチャイルド銀行からだが、モカッタ・ゴールドシュミット商会からも来ている。その商会は、「特許状」が与えられたスタンダード・チャータード銀行の系列会社のひとつである。

ネイサンさんがイギリスに来た時、イギリスのユダヤ人富豪、リーヴァイ・コーエンさんの娘と結婚した。奥さんの兄弟達は、モンテフォーレ家の子供達と結婚している。そのモンテフォーレさんの奥さんがモカッタさんだという、つながりである。

結局、残りの3人もロスチャイルドの親戚なのだが、その一つのサミュエル・モンタギュー商会はミッドランド銀行の中核会社である。   だんだん、こちらの頭のネットワークも整理されてきた。

写真は、現代の東京の広尾にある日本ユダヤ教団のSinagoge(シナゴーグ・礼拝所)である。参考文献にあげた「ユダヤ製国家 日本」の著者ラビ・トケイヤーさんは、ここのラビ(教師)である。お会いしたかったが、日曜日は教会自体が休みであった。

参考文献 1)Rabbi Marvin Tokayer:ユダヤ製国家日本 日本ユダヤ封印の近代史、徳間書房、  2006 2)広瀬隆:赤い楯 ロスチャイルドの謎(上)、集英社、1991

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