のむけはえぐすり 第5弾 アンコウの話2006年03月11日 17時14分35秒


アンコウの話

いつも口をアングリ開けてのろまな魚に見えることから、暗愚魚が語源だとされている。英名は、あの背びれが進化した提灯で魚をおびき寄せて漁をすることから、angler fish(釣り魚)と呼ばれている。韓国では아귀(アグ)と呼ばれ、口が大きな女性の代名詞にもなっている。人間だと、口が大きな女性はだいたいが美人である。宝塚系の男役がそうだし、王様の妃に抜擢された「チャングム」のヨンセン(パク・ウネ)がそうだ。この逆の、口が大きなブスは想像したくない。

 韓国の魚市場では、店の軒先に放って置かれたように売られている。箱に入れられたものはまだマシな方で、八百屋の店先でミカンやリンゴを盛りつける緑のプラスチックのザルの上に置かれたぞんざいな扱いが普通である。口の中に指をつっこむと、内向きについた歯がチクチク当たり、食いついたら離さないという気構えが口全体から伝わってくる。醜女(しこめ)の深情けに通じる。

 アンコウは「七つ道具」と呼ばれるトモ(肝)、鰭、ヌノ(卵巣)、柳肉(身肉、ホホ肉)、水袋(胃)、鰓、皮、それぞれに味わいがある。アンキモは鍋の最初に溶かして油を出す「どぶ汁」のような食べ方もあるが、薄く切ってサッと湯がいて食べるフワフワの麩のような食感も美味しい。フライペンのアグチムは、煮込んで溶けそうになった肝が鍋全体に甘みを提供し、辛さと甘さが調和した上品な味になっている。

 プリプリとはじけるような歯ごたえのある皮、柔らかいゼラチンからズリッとしごくように骨を出して食べる鰭(ひれ)、縮緬のようにチリチリした食感のエラ、コリコリした水袋など。どれもこれも美味しい。
 フワフワ、プリプリ、ズリッ、チリチリ、コリコリと、かなり怪しげな魚であることは間違いない。

コメント

_ ノーテンキ ― 2006年03月11日 17時25分21秒

そうですか、韓国でも食べるんですね。

僕はヒャンギが日本で覚えたのだとばっかり思いながら食してました。

そういえば最近タイの留学生だか通りがかりだか知れませんが見かけないですね。どこか深海でアンコウと同じように餌をぶら下げているんでしょうか?

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