第11弾 太刀魚の話2006年04月21日 20時32分40秒

第11弾  太刀魚の話

太刀魚は韓国ではカルチと呼ばれ、最も好まれている食材のひとつだ。フライペンでも、10cmぐらいにブツ切れにされ、塩焼きにされて出てくる。脂が多く、身が柔らかい魚だ。 日本では、新鮮なものは刺身で出されることもある。ややピンク味を帯びた白身で、脂が多く、さすがにポン酢が好きな私でも醤油で食べようかと迷う。

太刀魚は70-100cm位の、それこそ太刀のような格好をした魚だ。全長といっても、尾の最後はひものように長く、その末尾までを言えば1m50cmぐらいのものは市場で見かける。指が四本並んだぐらいの幅のものが美味しいとされている。新鮮なものは、表面がきれいな銀色のグアニン質で覆われている。このグアニン質は模造真珠やマニキュアの艶出しに使われていたといわれるぐらい、太刀魚は銀色に輝いていて美しい。グアニン質は古くなって、指でつかむとすぐはげ落ちる。市場では、時折、グアニン質がとれて、切られの与三郎みたいなズタズタな姿で見かけることがある。

水族館に行くと、太刀魚は群になって、立って泳いでいる。背中いっぱいについている背びれを波打たせて、体を立てたまま、群全体が同じ間隔を保ってスーッと平行移動する様は不思議なほど優雅だ。これを見たら、太刀魚も「立ち魚」と呼びたくなる。ところが、一旦、餌が近づくと、立てかけられていた刀は一斉に少し斜めになりながら、これまた滑るように移動する。もっと素早く動くときは、真横になって若干身をくねらせながら泳ぐ。結構どう猛な魚であることは、その歯が鋭く、大きな口を見ると想像できる。歯は返しのような形で、メスのような切れ味がある。

写真は釜山のチャガルチ市場で売られている太刀魚だ。「全部まとめて持ってケ!」みたいに手前に積まれているのがゴマ鯖。左側の腹が黄色いのが石持。その奥に4本、5本と並べられているのが太刀魚だ。日本のものより小さい。せいぜいが、指3本だ。並ぶ順番からすると、結構位の高い魚であることがうかがえる。その割には、お皿の半分にかろうじて頭だけ乗せられ、扱いがぞんざいだ。「アーアッ。お皿の縁で太刀魚がはげるヨ、切られの与三さんだヨ」と心配するのだが、それがどうした、よけいなお世話だといわれそうな雰囲気が、アジュンマお富の赤い手袋やピンクの袖口から漂っている。

そういえば、韓国語でトミとは鯛のことだ。「グアニンのはげた与三郎より、腐っても富み」・・・・!?。ハイ、お粗末・・・。