のむけはえぐすり 第112弾 閑話休題 族譜2008年12月06日 05時17分20秒

金海金氏の祖、首露王(スロワン)が眠る良洞里(ヨントニ)古墳群の拝殿にあった金海金氏の族譜が納められている棚

のむけはえぐすり 第112弾

閑話休題  族譜

 

韓国人がお互いに名前を名乗り挨拶する時に、例えば「金**です」というと、「どちらの金さんですか?」とたずねているのをよく耳にする。相手の方が「金海金(キメキン)です」と答えると、「何派ですか?」と重ねて聞く人もいる。

 

日本人にはこれがよく分からない。金という姓が多いから、遠山の金さんとか、親戚のkinさんとか、分かり易くしているのかと思っていたら、話は何十代も祖先にさかのぼって、一族のプライドを賭けた話だった。

 

韓国には、姓の数が少ない。今も外国人の帰化によって若干増えることもあるが、2000年の国勢調査では285とされている。周りを見ると、金とか李とかがやたら多いように思えるが、事実、金は878万人で韓国の人口の22%、李は598万人で15%、朴は343万人で9%を占めている。この金・李・朴が韓国の姓に多いベスト3で、以下崔(チェ)、鄭(チョン)、姜(カン)、趙(チョ)、尹(ユン)と続き、上位10の姓だけで全人口の64%を占める。

 

これでは確かに、どちらの金さんか、よく分からない。だからといって、韓国人が「どちらの金さんですか?」と聞いているのは、今住んでいる所ではなくて、その姓の始祖の出身地、すなわち本貫を聞いているのであって、韓国では日常的な会話になっている。

 

釜山の国際空港がある金海(キメ)を本貫とする金さんであれば、金海金(キメキン)。密陽の朴さんならば密陽朴(ミリャンパク)、全州の李さんならば全州李(チョンジュイ)といった様に、本貫に姓をつけて呼んでいる。今挙げた三つの姓が実は韓国内のベスト3で、それぞれ412万人で人口の9%、303万人で7%、261万人で6%、その後に慶州金、慶州李、慶州崔、晋州姜、光山金と続く。

 

今、慶州を本貫にした姓が金・李・崔と三つも出てきたが、本貫と姓の組み合わせが3435ある中で、新羅の都、慶州が本貫となっている姓が一番多く、87ある。他に本貫として挙げられることが多い地名は、晋州80、全州75、密陽67、清州66で、その後は海州、忠州、羅州となっている。

 

本貫と姓を名乗って、「何派ですか?」と聞くのは、例えば金海金だと、監務公派、文慇公派、府使公派など11の派があり、それを聞いているわけだ。韓国では、ほとんどの姓に先祖代々の家系を綴った族譜と呼ばれる家系記録がある。大きな姓では、族譜が膨大になると、より狭い範囲で派譜や支譜が編纂され、枝分かれして派が作られていった。

 

写真は、金海金氏の祖、首露王(スロワン)が眠る良洞里(ヨントニ)古墳群の拝殿にあった金海金氏の族譜が納められている棚である。ずっしりとした金文字の背表紙の本が、数十冊整然と並んでいた。部屋の外から見学したので、金海金氏の11の派が、どのように綴られているのかは分からない。

 

族譜の始まりは15世紀初頭の水原白氏のものだとされるが、現存する族譜の中で最も古いものは、1476年に編纂された「安東権氏世譜」(アンドンコン氏の成化譜)である。世譜というのも族譜と同じ意味だが、韓国国立中央図書館に保管されている族譜の中では、「世譜」という名称の方が「族譜」より倍近く多い。それでも、現代では族譜の方がよく使われている。これまでに455の同姓同本集団の族譜が編纂され、多くは17、18世紀に作り始められ、父系の集まりである門中によって世代毎に編纂が繰り返され、数は近年になるほど多くなっている。

 

族譜の作り方にも、時代によって変化があった。

 

15世紀頃に作られた初期の族譜には女系の外孫の系譜も収録されていたが、17世紀以後になると外孫の記載が少なくなっている。この変化は、父系重視の考え方が普及してきたからだと言われていたが、単に書ききれなくなったからだという現実的な問題があると同時に、族譜の編纂が一般化し、女系は嫁ぎ先で記載されるので省くようになったとする見方もある。

 

現に、「安東權氏樞密公派大譜」(1983年刊)をみると、女性の名前はない。娘であれば「女」とのみ書かれ、「女」の後ろに婿の名前が書かれている。嫁に至っては、「女」の文字もなく、嫁の父親の名前が書かれている。女性は名無しで充分というわけだが、族譜が作られた意味が、一族の由緒を誇示し、官僚たちの横のつながりを確認するための名族譜だったのだから、当然と考えていたのだろう。

 

族譜をみると、一族の中の同世代の男子の名前には、一律に同じ漢字が使われている。一族の中の世代的序列が分かるようにするため、数年ごとに一族の学識者が決定しているという。行列(この場合はハンニョル)と言い、一般的には回り字(トルリムチャ)と言われているが、これも韓国では一般的だ。そのことが、韓国人の名前が同じようになっているもうひとつの理由だ。姓が同じで、名も同じようなら、どうしたって「どちらの金さんですか」と聞きたくなる。    

ただ、若い人が初対面の相手に「どちらの金さんですか?」と聞くのは、「同姓同士の結婚が許されないのなら、先に聞いておかなくチャ」という現実的な理由もある。    

参考文献  

1)宮嶌博史:東洋文化研究所所蔵の朝鮮半島族譜資料について、東京大学東洋文化研究所附属東洋学研究情報センター報 『明日の東洋学』 第7号、2002 2)金容権:族譜:韓国史を歩く、歴史読本、新人物往来社、1988

久しぶりのフライペン;美味しい料理 これ名前なんでしたっけ?2008年12月06日 22時44分42秒

久しぶりのフライペン;美味しい料理 これ名前なんでしたっけ?

先月の編集会議で食べた久しぶりの味

>監督

これ何という名前でしたっけ?内蔵なんだけど (食べたときは名前を思い出したんですが・・・こういうボケが増えてきました。やばいなぁ。。。)