!超辛気監督の 「のむ けはえぐすり」新連載スタート!2006年02月25日 00時58分16秒

新連載のスタートです。

鬼才 超辛気監督の 「のむ けはえぐすり」です。

その名の通り--「効くと信じて飲みたい」「飲んでもまず効かないが心理的効果はある(かも知れない)」「馬鹿にしているがわらにもすがりたい」--
という一般大衆の弱みにつけ込んだコーナーです(笑)

監督、よろしくお願いします。
今後は編集担当者の「原稿受付専門アドレス」にアップしていただけると
このコーナーに掲載いたします。

記念すべき第一回は映画化も決定したあの名作「チジミの旅」です;

フライペンのチジミの旅

「このチジミはうまいナア」
「パジョンです」
「なんだイ、それは?」
「ネギチジミです」
「初めて食べた。いつもニラの入ったヤツしか食べたことがないケド・・・」
「韓国ではパジョンの方が普通です」
「ナンダイ。日本人は本当にうまいチジミを知らなかったンだ!!」

こんな会話から始まったのが、フライペンでのチジミとの出会いだった。実は、チジミはニラやパ(ネギ)だけでなく、どんな野菜でも小麦粉にからげて、ギューギューとフライペンに押しつけて縮ませれば、チジミというらしいことも初めて知った。
それからが、フライペンでのチジミの旅の始まりだった。行くたびに、無理難題を押しつけた。
「じゃあ、ニンジンでもできる?」
「もちろん」
出てきたチジミは、細かく切られたニンジンがいっぱい入ったオレンジ色の初めてみるものだった。甘くて柔らかかった。カンジャン(韓国の醤油)のピリッとした味とぴったりだった。

「白菜は?」
「それは定番です」
白菜チジミは最高に上品な味がした。「日本式に桜エビが入ったら、もっとおいしいかも・・・」。子供の頃に食べたフウライ(日本の東北の田舎ではこう呼ばれ、一枚5円だった)を思い出して、何気なく口にすると、早速その案が取り入れられた。愛国心の固まりのような香姫だが、こと料理になると少しだけ心が広くなるらしい。日韓(韓日)折衷のチジミができた。「3丁目の夕日」のような味がした。これが、今に残るフライペンの本当の定番になった。

「芋はできないでしょ?!」意地悪く、試すように聞くと
「できますヨ」と、例の勝ち気な返事が返ってきた。
韓風ハッシュドポテトといえるような、香ばしい味がした。カンジャンではジャガイモの微妙な味が消えそうでもったいない気がしたので、何も付けないで食べた。

「キャベツは?」
「それはだめです。水っぽくなります」
野菜なら何でも良いというわけではないらしい。結構選んでいることも分かった。

ハンサラン(韓人)はチジミをキムチと一緒に食べる。当然、キムチの入ったチジミもある。
「キムチチジミが食べたい」
「今日はキムチが残ったから、作りましょう」
店にある小さな冷蔵庫では、料理の付け出しに初めに出すキムチだけで、チジミに入れるほどの量はないということらしい。のどごしがピリッとして、いくらでも食べられそうな気がした。酒が本当にうまかった。

店では、鯛やヒラメの魚、レンコンのようなものもそれこそギューギュー押しつけてチジミと言って出すが、お好み焼きのような形でないとチジミといわれてもどうもピンとこない。
「ヨーシ、今度行ったら、ピーマンと言ってやろう」
まだまだ、フライペンでのチジミの旅は続きそうだ。

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